生活習慣病(糖尿病や高血圧)にも効果がある
「カレーは大好きだけど、刺激が強く、カロリーも高いから、体によい印象がない!」と考えているかたは、意外に少なくありません。
しかし、それは誤解です。カレーは、健康増進や病気予防に役立つ万能食なのです。
私は、長年、漢方の研究と診療に携わってきました。漢方薬とカレーは、非常に似ています。
まず、漢方薬の原料である生薬は、カレーで使われるスパイスと同じものが多いのです。生薬とは、植物や動物、鉱物など、さまざまな天然物のなかで、何かしらの薬効を持つものを指します。
いくつかの生薬を組み合わせて処方されるのが、いわゆる漢方薬です。植物由来の生薬には、スパイスとしてカレーに使われているものがたくさんあります。
カレー作りに欠かせない、ターメリックとクローブというスパイスを例に挙げると、ターメリックの生薬名はウコン、クローブの生薬名は丁子です。
ちなみに、日本人になじみが深い、サンシヨウやショウガ、ニラ、ニンニクなども生薬の仲問であり、パイスの一種なのです。
また、カレーと漢方は、作り方にも共通点があります。先述したように、漢方薬は、いくつかの生薬を組み合わせたものです。
カレーも、同じように数種類のスパイスをブレンドして作られます。
漢方薬の場合、組み合わせた生薬によって、その薬効も足し算されていきます。これを「相加効果」と呼びますが、それだけにとどまりません。
生薬どうしが相乗的に働き、特定の薬効を高める「相乗効果」。副作用を打ち消す「相殺効果」。また、ひとつまみの塩が砂糖の甘さを引きひきたてるのと同じ原理で、味やにおいなどの感覚的に働く「ブレンド効果」もあります。
これらの効果は、カレーにも当てはまります。スパイスを組み合わせて作るカレーは漢方薬と同様に健康効果を発揮します。
実際、カレーを食べることは、高血圧、糖尿病、肥満、ガン、認知症の改善に役立ち脳までを活性化することができるのです。
野菜をたっぷり使うと腸が大喜び
さて、現代人は腸の働きが衰えてるかたがたくさんいます。生活が便利になり、加工食品や甘いもの、冷たいものを過剰に摂取していることが原因です。
腸は、「第2の脳」と呼ばれるほどの重要な部位であり、さまざまな機能をつかさどっています。また、最近の研究では、幸福感をもたらす、セロトニンというホルモンが、腸からも分泌されることが判明しました。
そして、漢方医学の見地からも、腸の衰えが、さまざまな病気や症状を引き起こすと考えられています。
衰えた腸を元気にするためにも、カレーが役立ちます。「カレーを食べたら、体がポカポカと温かくなった」という経験はありませんか?
これは、スパイスによって血流がアップして、深部体温が上昇するためです。血流がよくなるとともに、腸の温度が高まることで、その働きも活発になります。
血流がアップすれば、新陳代謝も高まって、ダイエットにも役立ちます。さらに、深部体温が上がると、じっとしていてもエネルギーが消費されるようになります。
つまり、いわゆる「やせ体質」に変わるのです。特に、冷え症で太っている人、汗っかきなのにやせられない人、水太りしやすい人には、カレーがお勧めです。
なお、便秘に力を発揮するスパイスは、オニオンとガーリック。下痢には、カルダモン、コリアンダー、ナツメグが効果的です。
カレーの健康効果は、スパイスだけでなく、具材にもあります。より腸を元気にしたい人は、具材に、野菜を多く使うといいでしょう。
特に、食物繊維が豊富で、カレーとの相性もいい、キノコ類や豆類などがお勧めです。食物繊維をたくさん摂取すれば、さらに腸が活性化して、便通の改善も期待できます。
最後にアドバイスすると、いわゆる激辛カレーは控えましょう。こうした辛みは、トウガラシによるもので、刺激が強いわりに、あまり薬効は期待できないからです。
たまねぎたっぷりカレーで活性酸素を除去し血管内のデトックスも